予知保全で変わる水処理施設の未来
私たちの会社が目指しているのは「水処理施設の未来を、DXの力で一緒に創っていく」こと。最近社内でよく話題に上がるのが、「壊れてから直す」から「予知保全」への転換です。
予知保全とは
施設の重要なポンプやブロワーにIoTセンサーを取り付けて、振動や温度のデータを継続的に計測。蓄積されたデータをAIが分析して、「この波形は過去の故障事例の2週間前のデータと似ています」のように警告を出してくれます。
Pythonで異常検知
scikit-learnのIsolationForestを使えば、基本的な異常検知モデルを作ることができます。
from sklearn.ensemble import IsolationForest
import numpy as np
# 正常時の振動データを生成
normal_data = np.random.randn(100, 1)
# 異常検知モデルを学習
model = IsolationForest(contamination=0.05)
model.fit(normal_data)
# 新しいデータを予測
new_data = np.array([[3.0]])
if model.predict(new_data)[0] == -1:
print("異常を検知しました!")
予知保全が当たり前になれば、ベテランさんの負担を減らすだけでなく、若手技術者もデータという客観的な根拠に基づいて判断できるようになります。
予知保全を現場に根づかせるまでの段取り
センサーを取り付けてデータを集め始めても、すぐに役立つ警告が出るわけではありません。正常な状態がどういう波形なのかを知るための期間が必要ですし、季節や負荷によって変動する分も見極める必要があります。この助走期間をあらかじめ関係者に説明しておかないと、期待外れという評価になってしまいます。最初のうちは警告が多めに出ることもあるので、その前提を共有しておくと混乱を避けられます。
また、最初から施設全体を対象にすると、確認すべき対象が多すぎて手が回らなくなります。止まったときの影響が大きい設備をいくつか選び、そこで運用の型を作ってから広げるほうが、現場の負担も抑えられます。小さく始めて確実に回すのが結局は近道です。対象を絞って進めれば、判断の勘所も早くつかめるようになっていきます。
警告が出たあとの動き方を決めておくことの重要性
異常の兆候が示されたとき、それをどう扱うかが決まっていないと、せっかくの情報が宙に浮いてしまいます。誰が現地を確認するのか、どの段階で部品を手配するのか、生産や供給の計画とどう調整するのか。この流れを事前に決めておくことが欠かせません。決めておく内容は多くありませんが、決まっていないと現場で必ず迷いが生じます。
そして、警告が外れたときの記録も残しておきたいところです。なぜ誤検知だったのかを振り返ることで、判断の基準を少しずつ精緻にしていけます。当たった事例だけでなく、外れた事例の蓄積が仕組みを育てていくという感覚を、現場で共有できると強いです。記録が積み重なるほど、判断の精度も自然と上がっていくという実感が得られるはずです。
若手とベテランが一緒に取り組むための工夫
データによる判断が入ってくると、長年の経験が軽視されるように受け取られることがあります。しかし実際には、どの音や振動が気になるのかというベテランの感覚が、何を測るべきかを決める手がかりになります。両者は競合するものではなく、組み合わせて初めて力を発揮します。現場の感覚を言葉にする過程は、それ自体が貴重な知見の整理作業になります。
そのため、モデルを作る段階から現場の方に入ってもらうことをおすすめします。異常だと判断した根拠を言葉にしてもらう作業自体が、技術の継承にもつながります。データの整備は、実のところ知見を明文化する取り組みでもあるのです。一緒に手を動かす形にしておけば、出てきた結果に対する納得感も生まれやすくなると思います。